観音寺の文化財

 1、国指定重要文化財「木造千手十一面観世音菩薩像」

 観音寺のご本尊木造「千手十一面観世音菩薩立像」は和銅2年(西暦709年)に僧行基によって建立されたと伝えられています。8尺(2.45メートル)の檜の木造ですが、平安時代以前の木造仏でこれほどの大きさのものは九州では福岡県太宰府「観世音寺」の馬頭観音像、大分県豊後高田市「真木大堂」の阿弥陀如来像と当山の観音像の3体のみが知られております。

 2、長崎県指定有形文化財「観音堂天井絵」

 江戸時代末期弘化2年(西暦1845年)、長崎を代表する絵師たちによって描かれた175枚の杉板に描かれた「花喜図」といわれる天井絵です。当時の長崎奉行所の唐絵目利き(絵の鑑定士)を務めていた石崎融思、その子融済、孫の融吉、さらにシーボルトのお抱え絵師「川原慶賀」らによって描かれ、長崎の豪族であった飛鳥家をはじめとする観音様の信者によって当山の観音堂に奉納されたものです。

 中でも川原慶賀の作品は、1828年のシーボルト事件による長崎追放の後に書かれたものであることと、その作品がほとんど日本に残っていないことから大変貴重な文化的、歴史的資料となっております。

  3、その他の宝物

 ①梵鐘・・・観音寺の梵鐘は室町時代に現在の福岡県宗像市にある東光寺というお寺から買い受けたものであることが、観音寺の縁起書と「太宰内管志」という古文書の記述から分かっています。

 その後、長い年月のうちに音色が悪くなり、江戸時代になって延享2年(1745年)長崎の鋳造師「安山國久」によって改鋳され現在に至ります。

 太平洋戦争中、戦況悪化に伴う金属供出で全国のお寺からも様々な金物が供出されましたが、歴史的に所在がはっきりしていることもあり観音寺の梵鐘は供出されることもなく、その難を逃れて今日に至っております。(長崎市指定有形文化財指定)

 

 ②観音堂の大太鼓・鏧子(けいす)・釈尊涅槃図・地獄十王図などその他長崎市指定民俗文化財があり、公開できるものにはそれぞれに説明文をつけて安置しておりますので、ぜひ御来山いただきそれぞれの時代に思いを寄せていただければ幸いです。